【S.極上への希求】鶏白レバームースのパルフェ

皆さん、お元気ですか。

本日は、鶏白レバーのムースを作ります。この写真は鶏白レバームースで作ったパルフェの一例。

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まず、鶏白レバーとは何でしょうか。概念としては、フォアグラと同じように脂肪肝になった鶏肉のレバーなのですが、実際の白レバーを見てもらえば分かるように、通常のレバーに比べて淡いピンクをしていますが、フォアグラのように真っ白ではなかったりします。これは実は、白レバーに基準がないからです。食肉業者が「このレバー白いな」と思えば、白レバーになってしまうということなのです。

今回は、この鶏白レバーからムースをつくりますが、この際にたっぷりとバターを入れてコクと滑らかさ、エマルジョンによる軽やかさを出したいと思います。この際に目標とするのは、フォアグラです。

女子栄養大学の食材データベース・食材百科事典によればフォアグラの脂質含有量はフォアグラ100g中49.9gに及びます。およそ半分が脂質。通常の鶏レバーに含まれる脂質は100g中3.1gですから、鶏白レバーの場合は10g~位でしょうか。ですので、今回は完成した鶏白レバームースの40%を目安にバターを加えます。今回用意した鶏白レバーは750gですから、500gのバターを投入する計算となります。

東京都福祉保健局によれば、鶏肉の場合は芯温が65℃に達すれば食中毒菌は死滅するとの調理実験結果がでていることから、加熱終了温度の目安を65℃とします。
そして、この加熱に少し工夫をして、ブレンダーの摩擦熱で徐々に温度を加えていく形式をとります。

では、食材から。

(鶏白レバー500gの場合)
鶏白レバー    500g
炒め玉ねぎ    100g
グラニュー糖      15g
オレンジブランデー   15g
ゼラチン      20g
バター       330g
5%TCM     400g

まずは、5%TCMをつくります。
牛乳400gに対して、5%のグラニュー糖と食塩を加えます。

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牛乳を加えるのは、レバーの臭みを取るためではありません。
組織のpHを6に近づけて、レバーのアクトミオシンゲルが緻密になるのを助けるためです。
このあたりの詳細にご興味のある方は、【S.楽園への科学】タンパク質について(追記あり)で紹介しておりますのでぜひ。
食塩は鶏肉のブライニング処理のため、砂糖は組織内の自由水を結合水のような状態に変える働きがあるとされています。

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これで12時間~冷蔵庫内で寝かせます。
寝かせたレバーは、12時間後にザルにあけ、水気を切っておきます。

次に、炒め玉ねぎを作ります。

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大体、300gの玉ねぎを炒め切ると、100gの炒め玉ねぎになります。

玉ねぎをソテーしている間に、鶏白レバーもソテーします。

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そしてここで、ソテーしてメイラード反応が起きたレバーを、ブレンダーに投入し、ひたすら回します。
連続使用しますので、モーターの弱いブレンダーだと壊れます。。。

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レバーを回している中に、グラニュー糖、ブランデーそして炒め玉ねぎを投入します。

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ここで、回転の摩擦熱で内容物の温度は68℃に達していました。鶏肉の場合、パスチャライズ(殺菌)のために必要な到達温度は63℃30分もしくは65℃ですので、安全面ではOKです。
タンパク質の変性面でみても、68℃であれば許容範囲です。

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さらに、溶かしバターを入れて、最後に水で戻したゼラチンを入れます。

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それを、氷水にあてたボールにあけます。

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これをひたすらかき混ぜて、空気を含ませながら冷却します。
というのも、このままこのムースを容器に移すと、冷めていく過程で大量の油脂分が見事に分離します。
なので、撹拌しながらの急速冷却が必須です。

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このようにリボンが書けるように重たくなれば、完成です。
滅菌した容器に移して、冷蔵庫で二週間程度は使えます。

本日は、以上です。鶏白レバームースのレシピでした。
これをパルフェにすれば、パンと一緒に前菜として完璧。まさにパルフェです。

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Bistro2983 Chef Patron

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Master of Life Science 生命科学修士

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